中村俊輔選手インタビュー

『2013Jリーグアウォーズ』で2013Jリーグ最優秀選手賞を受賞した中村俊輔選手から久保田院長宛にメッセージが届いております!横浜マリノスで苦楽を共にした中村俊輔選手とは現在も交友が深く、お互いに様々な相談もしております。今回のくぼたスポーツ接骨院のOPENの際も様々な助言を頂きました。

中村俊輔選手――2013年シーズンは、とても良いコンディションで臨めたのではないかと思います。ケガをせず、シーズンを乗り切れた要因は何でしょう。

中村 一番はメンタルの部分が大きいと思います。本当に集中して、自分の体に気を遣ってやっていれば、ケガはしにくいものです。逆に、少しでも自分の筋肉や足首などの状態を意識することを怠れば、ケガにつながりかねない。例えば、「ハムストリングスが張っているな」と感じたら、練習前にトレーナーに温めてもらったり、揉んでもらったりする。その後、軽く筋トレをするなど状況を見て、ランニングをしてから練習に入る。

現役生活が長くなると、自分の体とのつきあい方がわかってくるものです。そういう積み重ねで今シーズンは良いコンディションを保てたと思っています。もちろん、年齢が年齢なので、疲れがたまることや体の張りを感じることもあります。だからこそ体のケアは欠かせません。試合後、すぐにクラブハウスに戻り、ランニングをし、プールに入って、交代浴をする。その間、トレーナーに待っていてもらい、リンパの流れを良くするオイルマッサージをしてもらう。その積み重ねです。

――19時キックオフの試合でも、そのケアは行なっていたのですか?

中村 そうですね。ナイターの試合のときには、体のケアを終えてクラブハウスを出る時間が11時になることもあります。そういう体のケア、練習前の準備は若い頃よりも倍以上の時間をかけるようにしていますし、かかってしまうんです。

そうしなければ、万全の状態で練習もゲームもできません。万全でなければ、やはり質の高い練習は望めませんし、伸びないんです。だから、練習から100パーセントに近い状態でグラウンドに出るようにしています。

――そういう体のケアは、いつから行なっていたのですか。

中村 それはサッカー人生において、ずっとやってきました。もちろん、環境が変われば、十分にできないここともありますが。

例えば、セルティックのときには施設が充実していたので交代浴もできましたが、レッジーナ時代はシャワーでさえ、パイプに穴が空いているような環境でした。そういうときには、早めに帰宅して、自宅でできることをやるようにしていました。それと、イタリアに渡った1年目はイタリア人のトレーナーにマッサージをしてもらっていたのですが、さすって温める程度なんです。僕らは「ジャパニーズ指圧」でやってきたので、どうしても疲労がたまったり、ベストなコンディションを保ちづらいと感じたんです。

だから、2年目からは日本からトレーナーに来てもらったりしましたね。僕らからしたら、トレーナーとは監督やコーチと同等の存在です。選手としては、そうでなくては困る。本当に重要ですね。

――以前と比べて、試合前後の体のケアの仕方は変わりましたか?

中村 若い時はパッとグラウンドに行って試合をして、パッと帰ってサッカーのDVDを見る。その繰り返しでした。イタリアへ行ってから、イタリアのグラウンドは日本と違って柔らかく、粘土質なので練習からポイント付きのスパイクを履かなければならなかった。そうすると足や腰、体に負担がかかることになる。

ですから、よりストレッチをするようになったと思います。それとケアばかりしていてもダメなので、強化ですね。これまでもいろいろな選手の方法を参考にしてきましたし、食事の面もそうです。常に何かを学ぼうとしていかないと。ケアの部分でも、サッカーと同様に上積みし、向上していると思うんですけどね。自分の体を自分でどれだけケアできるかという点では。

――日々のコンディショニングで気をつけていることは何でしょうか?

中村 これまで挙げた点以外で言うと、言葉は悪いのですが、スタッフをうまく活用できるかどうかだと思います。トレーナーに自分の筋肉の動きは、外から見ていてどうだったかを聞いてみる。そこで「今日は針にしようか、何々にしようか?」と治療を相談することもあります。トレーナーの意見をただ受け入れるだけでなく、自分の体のコンディションを相談できるトレーナーであれば、なおよいと思いますね。

――中村選手ほどのキャリアがあれば、自分の体のことは自分が一番わかるのではないですか?

中村 そうですね。ただ、試合に負けたり、良いプレーができなかったときなどは不安になるものです。

特に、2010年の南アフリカ・ワールドカップを控えた時期には、Jリーグで足首をケガして、それを誤魔化しつつプレーしていました。それがワールドカップ直前になっても調子が上がらないことに気付き、そのまま本大会を迎えてしまった。

「何か自分の体がおかしい」と思って、トレーナーやフィジカルコーチと相談して、ランニングマシンで3分×4セットのメニューに取り組んだりしました。セットの合間に採血をして乳酸値を図るのですが、すごく高かったんです。そういうデータの裏付けもあり、「やはり体が疲れていたのか」と気付くことができた。

自分の体の変調に気付くのは自分ですけど、いろいろと相談できたり、自分が気付かないことを指摘してくれる存在がトレーナーだと思います。選手の体の微妙な変化が「分かる」、「気付く」、そして「相談にのってくれる」。そういう存在が周りにいるのは本当に大きいんです。そうでなければ、もっとガムシャラにやって、オーバートレーニングになっていたかもしれませんし、「これでいいんだ」と間違ったトレーニングを続けていたかもしれませんから。

――中村選手にとって、信頼できるトレーナーの条件とは何でしょう?

中村 うまくコミュニケーションが図れることだと思います。トレーナーに比べて、僕のほうが知識はないわけです。だから、僕はいろいろと質問するようにしています。

トレーナーから説明を受けて、自分が納得しながら直すのと、ただ、トレーナーの言われたままに直すのとでは、全然違うんです。トレーナーと「一番良い治療は何か」を模索しながら、二人三脚で治していく。そのほうがやはり治りも早くなると思いますね。

――最後になりますが、くぼたスポーツ接骨院開業にあたって、久保田トレーナーに一言メッセージをお願い致します。

中村 開業おめでとうございます。横浜F・マリノスで一緒に仕事をしていた時間は、私にとってとても大切な時間でした。多くの患者さんに、自分のように元気になってもらうように力を尽くして
頑張ってください。自分も頑張ります。

 

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